わたしを愛してくれた
あなたのために
もっと美しくなりたかっただけなの
あなたに釣り合う女になるために
自慢できる女になるために
もっと、もっと、
美しく、細く、細く、細く
ただそれだけだった
今のわたしの
目の前にはトイレの便座
便座の水に映るのはわたしの顔
そしてこう思うの
『ああ、死にたい』
死んでやりたい
別に不幸なわけでもないし
特別嫌なことがあるわけでもない
でも
なんかいいや
生きてその先何がある
自分で命を絶つ
そんな勇気はこれっぽっちもないのに
喉に突っ込む自分の指が
ナイフだったらいいのに
トイレのドアの前には
大量の菓子パンやお菓子のゴミ
どう見ても
女が一人でいっきに食べる量じゃない
口から出る嘔吐物を見て
少しの快感と達成感
そして大きな悲しみ
誰にも言えないのよ
『助けて』と
食べてる時だけが無になれる瞬間
わたしは摂食障害
過食嘔吐を繰り返す
自覚しているわ
でも、でもまだ
美しくなりたい欲望が消えない
あなたはこのことを知らない
この先知ることもない
だってもう
あなたはこの世にいないもの
わたしが美しくなったら
迎えにきてね