「俺、いつか親父みたくこの町をずっと守っていけるような男になりたい!」
「ハハ、ガキだなぁ。でも前向きなヤツは嫌いじゃない。ああ、いつかなってみせろ。そして俺を越えてみせろ。」
「ああ、絶対だ、約束する!」――――
…また、あの夢か。
「ありがとうございましたー。」
「ふぅ、とりあえず一泊して疲れも癒えたし、そろそろ次の町に向かう計画でも立てるか。」
そう言って伸びをし、宿から出てきた黒髪の少年。
彼の名前はショウ。
14歳にして1人で世界を旅する放浪者だ。
頭には鉢巻きを巻き、比較的小柄な体格ながらも堂々とした雰囲気を持っている。
彼はサンフロウの町というところに、今日で4日間滞在していることになる。
「あ、ショウくん!おはよう!今日も調子いいか?」
「おう、鍛冶屋のおじさん。お陰さまで修復以降槍の調子はバッチリだ。」
「そいつぁ良かった!しかしまぁあんたも若いのによく戦いなさるなぁ!」
「そりゃ昔から経験積んできたからな。」
「それにしても立派だ、うんうん。」
そう言って頷くのは、この町でも生粋の鍛冶の腕前を持つおじさんだ。
ショウは戦闘に槍を愛用するのだが、旅先で折れてしまい、この町に寄ると同時に修復して貰ったのだ。
「しかし、あの時は本当に助かったよ!」
「いやぁ、もういいって本当に。」
彼がこの町に来た際、この町では頻繁に泥棒が出現していた。
またこの鍛冶屋も泥棒に悩まされていた。
泥棒退治の報酬として、ショウはタダで槍の修復をして貰ったのだ。
「さて、じゃあ鍛冶屋のおじさん。俺、そろそろ次の町に向かうんだ。」
「おう、そうか。寂しくなるな。」
そう言って少しわざとらしくウルウルするおじさん。
「悪いね、俺も旅の放浪者だから、ずっととどまる訳にはいかないんだ。」
「まぁそうだよな。なら次はサガの町に行くといい。ここから西に4キロほど行ったところにあるが、今何やら騒ぎがあって町民は近寄り難い雰囲気らしいんだ。」
「お、それはまた面白そうなにおいがするな?よし、ありがとうおじさん!」
「おうよ、また人助けしてきな!」
「じゃあな、おじさん、じゃあな、サンフロウの町!」
そう言いながら手を振り、ショウは町の門を出る。
しかし彼が次に向かうサガの町、彼の予想以上の脅威が待ち受けているのだった…―――