菜穂子が目を覚ますと、そこはキッチンだった。
いつの間にか眠ってしまっていたらしい。
リビングの時計を見ると、夜の11時を過ぎていた。
「大変…」
菜穂子は急いで起き上がった。
旦那の夕食の準備がまだ出来ていない。
いつも、10時ぐらいに帰ってくる旦那の為に娘とは別で夕食を作るはずが、寝てしまっていたために出来なかった。
(…あれ…?)
菜穂子は、ある異変に気づいた。
時計は、もう11時を指している。
旦那は、今の会社になって11時になっても帰って来ないことなんてなかった。
(おかしい…)
ふと、玄関に目をやると旦那の靴とカバンが投げるように置かれていた。
「帰って…来てる?」
もしかしたら、帰って来て寝てしまったのかも…
菜穂子は、2階へ行こうとして足を止めた。
ドクン…
心臓が鳴り響く。
何故だろう…
本能が、2階ではないといっている気がした。
菜穂子は次に、キッチンへ向かった。
キッチンにある、あらゆる棚をあけ、ある物達を探す。
「ない…」