「なんだよ…これ…」
サガの町に到着したショウが目にした光景―――
まるで生気の抜けたように表情の無い人々。
そしてその人々をこき使うように命令をしているそれは…
―――ショウが旅をしているのはただ単に好奇心や人助けのためではない。
2年前に突如世界に大量の流星群が降り注いだ。
それと同時に世界では謎の生命体が発生した。
中には人語を扱うものもあれば、謎の言葉を発するものもある。
しかし性質は劣悪そのもので、町中に甚大な被害をもたらす脅威となっている。
人々は、それを「怪人」と呼んでいる。
ショウの旅の目的の1つは、その怪人の殲滅なのだ。―――
サガの町で人々をこき使っているのは紛れもなく怪人であった。
そう、既にこの町は怪人の巣窟と化してしまっていたのだ。
「……」
かつてショウは何度か怪人と相対したことがある。
もちろんその時は一対一であったため、討伐はさほど困難ではなかった。
しかしこの町の様子を見ると、ざっと数えても怪人の数はのべ20体。
1人でどうにか手に負える程ではなかった。
「とりあえずこのまま突っ立っててもバレて集団攻撃されちまう。」
そう言ってショウは咄嗟に物影に隠れる。
「しかし、これだけたくさんの怪人がいるってことは、そいつらを纏めるボスみたいなのがいる訳なんだよなぁ。」
普段から頭の回転が悪いショウでも、そういった考えには至ることができた。
「しっかし、割とこの町、広いからなー。」
そう言って大まかに町の全景を見渡すショウ。
すると町の奥の方に、あからさまに大きな建物が構えられていた。
「……、派手好きなのか…?どうみてもあれ、怪しすぎるだろ。」
もしかしたら見てくれだけかもしれないと疑うが、あまり深く考えても仕方ないので、ショウは町中にはびこる怪人の目を気にしながらも、徐々に建物に近づいてゆくのだった。
―――「おい、今日でもう1ヶ月だぜ?姉ちゃん。」
「そうね。このままここでひっそりと堪え忍んでいても、いずれ見つかるか食料が尽きて生き延びる道がないわ。」
「でも相手は怪人だし、父さんも母さんも洗脳されちまったし…」
「何より数が多すぎよ…」
「俺たち、どうなんのかな…。」―――