お帰りなさい2

 2012-07-16投稿
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「ない…」

あったはずの包丁やホォークやナイフがないのだ。

だが、菜穂子は何故か焦らなかった。

ふと、リビングの隣りにある和室に目を向ける。

「ああ…」
菜穂子は、和室へとゆっくり足を進めた。

和室の隅にある大きなクローゼットに目線を移す。
クローゼットの周りは、赤茶色の大きな染みがたくさんあった。

生臭い臭いがクローゼットからする。

菜穂子は、ニヤリと笑った。
「あなた…帰ってきていたなら言ってくれないとぉ…しかも、包丁とナイフとフォーク。ちゃぁんと返して下さいね…」


ギィ……

クローゼットのドアが開く。
そこには、包丁やホォークやナイフを身体中あちこちに刺した旦那がいた。

生臭い臭いが増す。

菜穂子は、旦那の身体中に刺された包丁やナイフやフォークを丁寧に抜き取る。
ブシュッ!ガシュッ…

「あなた…」
菜穂子は、旦那の心臓のあたりに刺さっている最後の一本の包丁を抜いた。

ブシュッブシュッ…

また、生臭ささが増した。

「あなた…お帰りなさい。」

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