「ふぅ…、とりあえず表から堂々と入って集団相手にするような事にはなりたくないから、裏口でも探すか…。」
そう言って壁沿いに怪しい所がないか探すショウ。
時計回りに回ろうとして、ちょうど2つ目の角を曲がろうとした時だった。
「おわっ!!」
急に足場が崩れたと思いきや、そこには小さな洞穴とも井戸とも言いがたい穴があった。
「痛ってて…」
見事にきれいに落下したショウ。
「だ、誰だっ!?」
「あ?」
落ちた穴の奥には、2人の人間がいた。
「え…、えっと、よく状況が読めないが、怪しい者じゃない。」
「本当か!?怪人が人間に化けてるんじゃないんだろうな!!」
「えっ?」
「ちょっとテルト!失礼じゃない!どうみても人間でしょ?戸惑ってるじゃない!」
「…でも」
「疑いたくなるのは分かる。でも彼は違うわ。あの、弟が失礼しました。あなたは一体…どちらから?」
「ああ、俺は旅の放浪者で、ショウって言うんだ。ここに来る前はサンフロウの町に滞在してて、そこでこの町の情報を聞いて来た。」
「そうでしたか、無礼な態度を取ってすみません。ほら、あんたも頭下げなさい。」
そう言って女性は隣の弟の頭を掴み、一緒に頭を下げた。
「いや、いいって。そんなことくらい。」
「あ、紹介が遅れました。私、キリナと言います。16です。」
「…テルト、13歳。」
姉のキリナが律儀に挨拶するのに対し、テルトはムスッとしたまま挨拶をする。
「ああ、2人とも宜しくな。にしても、こんなでかい建物の裏に隠れてなにしてんだ?」
「えっと…町の様子を見て貰ったのなら分かると思うんですが、私たちの両親たちも怪人に洗脳されてしまって…、それで私たちは逃げてここでひっそり機を待ってるんですが…」
「どうにも動けない、と。」
「ええ。」
「なるほど。事情はよく分かった。じゃあ俺が怪人をどうにかしたらいいだけの話だ。」
そう言い親指を立てるショウ。
「え?でもこんな数…」
「ああ、でも普通こんなに怪人がいたら、どこかに親玉がいるはずだろ?」
「います…けど、」
「無理だよ。」
姉の言葉を遮って、テルトは言った。
「1人であいつに勝とうなんて…無理に決まってる…」
しかしショウは全く気にした様子はなく、俯くテルトの頭にポン、と手を乗せ言った。
「まぁ、見てなって。」