建物正面の扉の前にどかっと立つ3人。
建物の外にはびこる怪人の目なんぞは気にしている場合ではなかった。
「…よし、行くか。」
靴紐を結び直し、ショウが言う。
「だ…大丈夫なんだよな?…本当に…。」
やはり落ち着きが隠せないテルト。
「私は彼を信じるわ。もう今頼れるのは1人しかいないもの。」
凛々しい表情で覚悟を決めるキリナ。
「開けるぞ…」
そしてショウは扉に手をかける。
思い切り扉を開いた途端だった。
「うぉっ!!」
突如、一体の怪人がショウ目掛けて奇襲攻撃を仕掛けてきた。
急な攻撃に意表を突かれるも、咄嗟に槍で攻撃を受け止める。
「っ危ねぇ…、想定の範囲内ではあるが…。」
しかし逆に予想外であったのは、その部屋には怪人は一体しかいなかったことだ。
「舐めてるのか?これなら余裕で突破できるぞ…」
再び怪人は長く、鋭い爪を突き立て、ショウに襲いかかる。
「下がってな、2人とも」
ショウはそう言い体勢を整えると、今度は槍をしまう。
「なに…するんだ?」
「さて、2人に俺の戦い様をお披露目する時が来たようだな。
ちょっとびっくりするだろうけど、面白いから見てた方がいいぜ。」
ショウが話してる間に、怪人は一気に距離を詰めてくる。
「危ない!」
テルトがそう叫んだ瞬間に、激震が響く。―――
宙に舞っていたのは、血を吐いた怪人だった。
「くそ、こいつ体がトゲトゲしてやがるから、鳩尾を殴るとこっちも痛い…」
「えっ?」
そう、ショウは先ほど立っていた所から、文字のとおり瞬く間に怪人の懐刀に潜り込み、鳩尾に強烈な一撃を入れたのだ。
「しかし、割と脆いものなんだな、怪人も。」
「「す…凄い…」」
ようやく状況が理解できたテルトとキリナは、感嘆の声をあげる。
「悪いが、今回は全力で行かせてもらう。」
未だ立ち上がることのできずにいる怪人に言う。
それからショウは、怪人に向けて手をかざす。
「先陣を切って出てきたのに悪いが、もうお役御免だぜ。…アディオス。」
ショウの手の周りにに渦巻くのは――――
「焔波閃」
次の瞬間、怪人に向けて一閃。
ショウが発したのは、黒く燃え盛る炎だった。
怪人はまともに受け、呻き声をあげながら浄化される。
「……」
ショウの力を目の当たりにし、テルトとキリナは呆然としていた。