キリナとテルトは、入口の所で相対した怪人と戦っていた時とは、まるで見違えるほどの強烈な撃ち合いを見て、唖然としていた。
「ちょこまかと、うっとうしい奴め!」
「悪いが、お前は俺についていけないぜ!」
戦況は、ギルテインに対してショウが猛スピードで部屋を駆け回り、牽制している。
「調子に乗るな!」
なかなか攻撃の的を絞れずにいたギルテインは、痺れを切らして範囲攻撃、つまり地面を殴り、衝撃波を起こした。
「うおっ!?」
不幸にも、ショウは比較的ギルテインに近い位置におり、直に前進に衝撃波を受ける。
「フン、走り回っていたところで、何もしてこなければ結果は目に見えているぞ。」
壁際まで吹っ飛んだショウを見てギルテインは言う。
しかし、
「そうか。」
ショウはそう言うとすんなり起き上がり、ズボンのホコリを払う。
「ほう、思いの他体力もあるようだな。」
「いや、今のは体を捻らせて衝撃波の流れに乗っただけだがな。」
そんな並み外れた離れ業を解説するショウ。
特にギルテインは驚いた様子は見せないが、嘲笑している。
「本当に面白い奴だ。これでこそ殺し甲斐があるというものだ。」
「そうか。まぁそういうことは倒してから言うんだな!」
そして今度はショウが、足から黒火を吹き出し、それをブーストにして一瞬でギルテインとの距離を詰める。
「…速い!!」
銃弾のようなスピードで迫るショウに、防御が間に合わないギルテイン。
「…!!」
「うおらぁッ!!!!」
次の瞬間、ショウの一撃は、思いきりギルテインの腹部に入る。
「げはっ…!」
吹っ飛びこそしないものの、体重の乗った重い一撃を受け、思わず腹を抱え込むギルテイン。
「さて、これを受けてでもまだ余裕かましていられるかな?」
「……」
「悪いけど、俺は手を抜く気はないぜ。」
「そう…だな。こちらも少し油断していたようだ。手抜きというのは失礼だな。これからはこちらも本気で行かせてもらう。」
「そう、こなくっちゃ。」
「では…」
次に、それまで腹を押さえていたギルテインが、息を吸った後に足元から霧を発生させる。
「…?何を…」
「スピードがある者には視覚を塞ぐまで。この霧の中、どう戦うかな?」
「……」
辺りが霧で、不利な戦況になるショウ。
だが、彼は尚も不敵に笑っていた。