「ショウさん…」
「終わったな…」
そこにいる誰もが、これで決着が着いたと思っていた。
落胆すると共に、恐怖するキリナとテルト。
「さて、じゃあ次はそこの餓鬼2人を片付けるか。」
そう言って迫るギルテイン。
その後ろでは霧が晴れ、そこには…
「…!?、ショウさん!」
「何だと!?」
そう、そこにはダメージを受けたはずのショウが平然として立っていたのだ。
「ぐ…お前、何故生きている…」
「勝手に殺すなよ。まぁ、見てりゃ分かるって。もっとも、分かったところですぐお前は浄化されちまうんだけど!」
「くっ…なんという輩だ…」
ギルテインにとって先程の一撃は、渾身とも言っていいほどの技であった。
しかしそれを受けてショウが余裕綽々であるとなると、恐怖するのはギルテインの方になる。
「さて、そっちの2人も知りたがってるようだし、いっちょやるか。」
次の瞬間、ショウの周りに風が渦巻いた。
と思うと更に、その風に乗って、火が舞い上がる。
「…黒い、火が…」
「さて、頑張ったところ悪いが、俺はまだ先がある分温存しておきたいんでね。すぐ蹴り着けさせてもらう!!」
刹那、ショウはギルテインの正面に周りこんでいた。
「は、速い!!」
テルトは即座に状況を理解し、驚喜する。
「アディオス、怪人よぉ!!」
「!!」
恐怖と驚きですっかり挙動の遅れたギルテインは、防御体勢に全く入れていない。
「終わりだ、黒炎突破(こくえんとっぱ)!」
ショウは全身に黒火を纏った状態で、足から火のブーストを発車しタックルする。
「う、ぐぁああああああぁぁぁっ!!!!」
怪人ギルテインは、タックルを正面からまともに受け、断末魔をあげて浄化されてゆく。
「…ふぅ、やっつけたか。」
「「ショウさん!」」
キリナとテルトがショウに駆け寄る。
「すげぇよ、ショウさん!俺、見くびってたよ!!」
「私も、驚きました。まさかここまで強いとは…」
「まぁ、だてに長いこと旅してる訳じゃないからな。」
「にしても凄かった!なぁ、なんだあの黒い火は!?」
「あれは、まぁ…生まれつき持ってる属性だよ。俺は珍しいっぽいけど、よく分かんねー!」
「えぇっ、何だよそれ!」
そんな一時の気楽な問答をしているショウとテルト。
しかし恐らく、残るは最後の部屋のみとなる…。