「仄原御也は有名だったんだな」
僕の報告を聞いた春樹は、開口一番こう言った。
図書室にて。
昼下がりの微睡みの中、自堕落に僕らは向かいあって座っていた。
カラダをだらりと机に預け溶けるように、
揺らめくように。
惰性を貪っていた。
「まあね。盲目なんて、そうそう滅多にあるもんじゃないし。まあ君の方も結構有名だけどね」
欠伸混じりで応える。
「そのわりには、大した情報はねーのな」
伸びをしながら春樹が言う。
「うるさい。自分で動け」
ってもう寝てるし..。
ため息をこぼす。
こりゃ無理かもね。