「脱獄…」
15人全員がそう感じた。「武藤…いいか、軍曹のおっしゃる通りだ。我々736部隊は、例え捕虜になったとしても任務遂行の義務を忘れちゃいけない。必ず本土へ帰らなければならないのだ。」奥田はそう言いながら武藤の体を起こしてやった。
「ほ、本当に申し訳ありませんでした!!!!」
武藤は水原に大泣きしながら謝った。
ドアの向こうではミゥエルの監視の目がこちらに向かって光っていた。
次の日から収容所生活が始まった。収容所には736部隊の他にも日本の陸、海、空軍の捕虜、合わせて千人程が収容されていた。
強制労働の作業の中、奥田を始め15人は昨夜の計画を遂行するためすでに動き始めていた。
「まずは、この島の地形、そして収容所の建物の構造、そしてミゥエル兵士の数を把握すること。」
田崎の脳裏には昨夜の水原の言葉が浮かんでいた。田崎はたまたま隣で作業をしていた男に話しかけた。
「お前は陸軍か海軍か?」
しかし男は見向きもせず黙々と作業を進めた。
「おぃ!!聞けよ!!」
田崎はつい大声を出した。その時
「ドン!!!!」銃声が響いた。田崎が振り返るとそこには、ミゥエル兵士が こっちを見て立っていた。
「お前死にてぇのか??」