夢の中。僕は近所の公園内に立っていた。
眩むような眩しい太陽が浮かぶ濃い青の空は、僕の心まで染めてしまいそうだった。
時刻は午後３時。
(駄目だ。)
早く目が覚めて欲しい。
不幸な『未来』なんて見たくない。
不幸に出会うのはもううんざりだ。
公園で喋る２人の男女。
女の被っていた帽子が風に乗って飛んでいく。
迫るトラック。
描かれている笑う黒猫が憎たらしく見える。
(駄目だ!!)
女は帽子を追いかける。
(止めろ!!)
僕の身体は蝋で固められたように動かない。
今この瞬間始まる不幸と惨劇から目を覆いたいのに。
信号は、女が帽子を手にした瞬間、警告を意味する赤に変わった。
キイイイイ!!
タイヤが軋む。
見開かれる男の瞳。
交差点のざわめき。血、血、血。空の青と血の赤のどぎついコントラスト。
濃厚な血の香りは人々をパニックに陥れるには充分すぎる程だった。
｢誰か、誰か!!｣
もう既に冷たいであろう女の身体を抱く男。
(ああ…)
どうせ助けられないのならば見たくない。
『予＼知夢』なんて。
篠山夢人。１６歳。男。
僕には、未来が見える。
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