月光や衆生の心包みたる
三日月や僕の心は月世界
月光を通す硝子の貴公子や
彼此を越え浄土に住す荻の原
秋風や二次関数を運べけり
隣家から引っ越しの声轡虫
鶏頭や字面を追って考えむ
片寄れる夜更けの我の秋思かな
鶺鴒の進みたる道止めたかり
新涼の風に吹かれしB4版
新しき生命聞こゆる木の実かな
夜が明けて爽やかな風虚子の句や
蔦の這ふ時代感ずる家屋かな
独り身の我に沁みるかなかなや
牛の食む牧草につく飛蝗かな
西瓜切る手に渾身の思ひかな
夜が来て深まる秋思折り紙や
高僧の読経の声宵月や