だから、僕も亀吉の言葉の一つ一つに頷きながら、なおも受け流していた
というよりも話の内容がさっぱりわからなくて困ってしまったのである
そして、ついにタイムを入れた
すると、亀吉は突然自虐的になり、
はっはっは、俺の話は全く噴飯ものだぜ
残飯だったのか
じゃなきゃこんなことになんないよな
全く俺は人間の屑だ
葛餅ならぬ
屑餅だ
はっはっは
「亀吉殿、しっかりして下さい
けっして、亀吉殿は屑なんかでは御座いませぬ」
「バハマー!」
「落ち着いて下さいませ」
「…」
そこに、彦星が巧く亀吉を宥めるようにして興奮状態の亀吉を抑えた
これはリリーフとして起用された彦星が亀吉という名のチームを無失点に抑え、見事に1セーブ上げたことになるのかもしれないと降板した僕は勝手に妄想していた
対する亀吉は負けを認めたが、今にも反吐を吐きそうだったので、近くに流れている海洋深層水をマネージャーの織姫が汲んできて亀吉に与えた
そして、四人だけの静かであるが激しい戦いは幕を閉じたのである
しかし、これから大変なことになるとはまだ誰もこの時点では予期していなかったのである
すると、近くを通ったタツノオトシゴのおっさんが僕に向かって、君はどうやら青春時代を野球に費やした者だねと呟いた
何で通りすがりのタツノオトシゴのおっさんが僕のことを知っているんだとさっきの亀吉に言われた時より妙な気分になった
しかし、なぜか僕はそのタッツーおっさんに普通に答えた
「まだ、20代で若いつもりなんですが、どうも高校時代はとうの昔のような気がしてならないのです」
そう言うと、タツノオトシゴのおっさんは
「わかるよう、わかる」
とだけ言って去ってしまった
本当にわかっているのかしらん
でも、わかってるほうがおかしいよな
と呟きながら亀吉を見遣るとまだ立ち直っていないらしく、顔が蒼白くなっていた
もともと、青海亀なので蒼白くなってもその変化は見分けづらいが、なぜか僕にはそれがわかった
しかしながら、どうしていいものか判じかねた
「参ったなぁ、亀吉
なんとか立ち直ってくれよ
確かに亀吉のことをわかってやれなかった僕も悪かった
すまない」
だが、亀吉はうんともすんとも言わなかった
代わりに、この事態を尋常ではないと悟った彦星が発言した