隣国との国交が思わしくなく、国王は頭を痛めていた。
その日の夜も五人いる子供のうち長男と次男を連れ側近達と話し合っていた。エイファの王の野心と良からぬ噂。
「父上、明日私をエイファにお送りください。王と謁見して参ります」
長男カイルは二十歳の好青年で、整った顔立ちで父譲りの金髪碧眼。優しさと強さそしてなにより父王の信頼を一身に受け次期国王の素質を十分に持った王子であった。
「しかし、カイル様が参られたところであのエイファの王がお会いになるかどうか…」
「だったら俺も行けばいい。フォルスの王子が二人も会いに行くんだ…会わないわけにはいかんだろう!」
次男アーチェスは十八歳、髪は母似で茶色ではあったが瞳は父や兄と同じく青く、体は筋肉質。兄とは違い畏まったことが苦手で、好き勝手ばかりするが、剣技は国一番と言われる程だった。