あの花が咲く頃

比呂 2012-09-01投稿
閲覧数[704] 良い投票[0] 悪い投票[0]

風吹けば通草もゆれて鳥止まり

能面の顔した人や秋茄子

子の眠り安らかなりて震災忌

颱風のすべてをさらふやうなもの

昼寝してひと休みせり竹の春

通り雨過ぎたる朝の玉蜀黍

鳥兜近くて遠き思ひあり

草分けて子らも喜ぶ蜻蛉かな

雨過ぎて二百十日の書斎かな

朝早く二百十日やカレーパン

山里の景色を飾る野菊かな

童心にかえる我の野分かな

心労の厳し葉月の針ふれる

食べるごと葡萄の出でる言葉なし

子はいずこ言はんばかりのむかご哉

鐘鳴りて夕闇の中柳散る

竜胆の誰が入る間もなかりけり

早稲のなる時に旅人里に入る

この地あり南方もあり帰燕かな

黍の穂に時流の句だけ浮かべけり

コスモスや病院の脇風の音

人の気配一目散の小鳥かな

子を孕む日々育ちたる柘榴の実

戦中の思ひ出ふかしさつま芋

稲妻の足がしびれてまた鳴れり

学生の仲間はどこぞきりぎりす

轡虫森の女に出会せり

横たへば静かな時や秋うらら

秋風やあの日あの時あの姿

鶺鴒のその音だけをとどめけり


i-mobile
i-mobile

投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「比呂」さんの小説

もっと見る

詩・短歌・俳句の新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ