天使のすむ湖58

雪美  2006-09-19投稿
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香里が入院してから一週間が過ぎた頃、外はしとしと雨が降り、そんな日の午後に、ようやく香里が目を覚ました。
「香里、目を覚ましたんだね、よかった。」
それ以上言葉が見つからなくて、すぐにナースコールを鳴らして、目を覚ましたことを知らせた。
香里は大きな眼をして、きょろきょろ見渡していた。
「ここはどこ?」
「N大付属病院だよ、一週間も眠り続けていたんだ、もう会えなくなるんじゃないかと心配したよ。」
少し顔色もいい気がして、主治医も奇跡だと驚いていた。
その次の日から、ICUを出て、個室の病室に移されることとなり、酸素も取り外され、ミキサー食から徐々に口に運べるようになった。香里が
「花火を見終わったのは覚えているんだけど、その先は思い出せないの、なんだか変な感じよ。」
そんなことを言い始めた頃、主治医が詳しい検査がしたいと言い出した。
なんでも、脳腫瘍の最新治療法があり、メスを使わずに集中的に光線を当てる治療らしい。状態がよくなれば、受けられる条件内ならば、95%の成功率で、メスを使わないから一週間から二週間すれば自宅に帰ることも出来るらしい。その治療法の名前をガンマナイフといい、フランスから来た最新治療法だと言う。
受けられる条件とは、良性腫瘍であることと、腫瘍の大きさが三センチ以内であることだった。
香里は少し考えた後、検査を受けてみることにした。助かる可能性が少しでもあるなら、希望が見えるかもしれないと思ったのだった。




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