ヴァン・スティールはモルテヘブンを出て仲間達と合流した
ナハト「頭!あの二人からよく逃げられたな」
ヴァン「あんなのまともに戦ってられるかよ!命が幾つあっても足りないよ。それよりAIチップは?」
ロイガー「レイド…報告を…」
レイドと呼ばれた人物は、別行動でグラッパと交戦した人物で、能力は他人の記憶をさかのぼる事が出来るらしいが詳しい事は他のメンバーも知らないらしい
レイド「AIチップはマラスキーノという人物の所へ運んでいる」
ヴァン「マラスキーノ…聞いた事ないな…まぁ金持ちなのは間違いないとして、俺達もそのマラスキーノの所へ行くぞ」
一方病院では…。
ユウ「なるほど…そういう事か」
タケ「凄い奴らばっかで、なんだか俺達ってまだまだっていうレベルじゃねーよな」
ユウ「タケ…」
タケ「あぁ?」
ユウの目は真っ直ぐタケを見ていた
ユウ「頼みたい事がある」
タケ「大体わかるよ…オレも多分同じ事考えてる」
皆それぞれ違う道を行く中、ムカイはまだモルテヘブンにいた
ムカイ「…」
あの夜から、朝を迎え、昼が過ぎ、また夜を迎える頃、珍しくモルテヘブンに雨が降り注ぐ中、ムカイはカジノホテルベラージオの前にびしょ濡れになりながら座っていた
「プップッー」
車のクラクションが鳴り、窓ガラスが開くとイザラが顔を出す
イザラ「復讐のガキがこんな所で何をしている!死ぬなら他で死ね!私のホテルの品質が下がる!」
窓を閉め、車を正面玄関に着け早々と中に入り、エレベーターに乗る
イザラ「あの生き倒れを綺麗にして、私の部屋に連れて来てくれないか?」
秘書にそう告げると、秘書はムカイをイザラの部屋に連れて行く
イザラ「さっきはひどい匂いだったが今は…ちょっとはマシになったな」
風呂に入り、綺麗になったムカイだが、その表情は暗い
イザラ「さぁ聞かして貰おうか…お前は何を知ったのかを」
ムカイが静かに口を開く
ムカイ「こんなにも深く、そしてこんなに大きい…いや大きすぎる相手とは思わなかった…」
ヴァン「まず始めに、俺やお前のような能力者はいつ誕生したかわかるか?」
ムカイ「…」
ヴァン「およそ100年前からいたとされているが、今みたいに普通に能力者が活動出来るようになったのは10年前くらいからだ」
ムカイ「10年前から?つい最近じゃないか…」
ヴァン「能力者は既に100年も前に存在しているのに、何故10年くらい前から能力者達が普通に生活出来るようになったのか…」
ムカイ「10年前に何があったんだ?」
ヴァン「まず…100年前にいた能力者は世界の人口の約1割程度しかいなかった。そんな世界の中で起こった事がある」
ムカイ「それって…」
ヴァン「世界の人口の9割の人間が1割の能力者を見ればどうなると思う?」
ヴァンの問いに答えがすぐに解ったが、その答えを口にするのを少しためらう
ムカイ「さ…差別…」