16歳の頃
僕は両親に虐待されていた。
毎日言葉で責められ、
毎日殴られる。
辛かった。
僕は家を出る事を決意した。
行き先なんて分からない。
宛てなんて何処にもない。
只、最後に世界でたった一人愛する君に会いたくて、桜の木の下に君を呼び出した。
僕が全てを話し終える前に君は言う。
「ヤダ!行かないで!!お願い!!」
「ごめんな…」
君は泣きながら、
「私は貴方を愛してる!だから私も連れて言って…!」
・・・・・・。
長い沈黙の後、俺は口を開く
「俺も貴方を愛してる…だから連れて行かないんだ」
君は沢山泣いた後、
最後、僕に太陽のような笑顔を見せてくれた。
あれから、10年後。
僕は春になると、たまにあの桜の木の下に行っている。
アイツは今、何してるんだろうなぁ…。
木の下で少しだけ寝ようと目を閉じる。
「あれ?痩せた?」
僕の耳元に響くかん高い声。
そっと瞳を開くと
そこには…。
太陽のような、笑顔があった