廊下からの君5

砂糖 2012-10-26投稿
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「夏希先輩!取れましたっ!」
「ほんと?すごい!」
「じゃあ夏希先輩にプレゼントです」
「ありが…」




「夏希?」



おびえた表情の夏希先輩
「…………郷野先輩」
「久しぶりだなあ」
「……お久しぶりです」
「あの時以来か?」
「……………」
「新しい彼氏か?」
「えっ」
「…………違います」
「あの時の1年はどうした」
「………………」

(?話が全然読めないんだけど…あの時?)

「先輩っ!」
「………勇くん」
「大丈夫ですか?」
「何?俺また悪者か?あの時の事反省してんだぜ?なあ夏希」
「やっ」
「先輩に近づくな。失せろ」
「はいはい。また殴られたくないしな」


「先輩大丈夫ですか?」
「……ごめん」

(え?全然話読めないんだけど…あの時?殴る?ていうかあの人誰だ?)

「なんであそこから動いたりしたんですか?心配したんですよ?」
「……ごめん」
「わ悪い野田。俺が…」
「佐藤くんは悪くないよ」
「とにかく今日はもう俺から離れないでください」
「…うん」


なんとなく気まずい空気

(聞きたいけど…これは聞くべきじゃないな…)





「あ!夏希たち居た〜」
「も〜どこ行ってたの〜」
「……ごめんごめん!ていうか二人ともすごい量!」
「金井くんがとってくれたの」
「中島くんも〜」



(よかったいつもの先輩だ)



それからのことはあのことが気になりすぎてあまり覚えていない
ただわかったのはあの後夏希先輩と野田は絶対に離れなかったこと。夏希先輩にはまだ触れてはいけない領域があること。




「は〜もう文化祭も終わりかあ」
「あとは片付けしてキャンプファイアーか」
「なんでキャンプしてないのにキャンプファイアーなんでしょうね〜」
「他に名前が無かったからでしょ〜」

「先輩大丈夫ですか?」
「片付けは在校生だけだし大丈夫だよ。でもキャンプファイアーはちょっと…」
「じゃあキャンプファイアーの時は迎えに行くんで待っててください」
「でもたぶんわたしたち片付けほとんどないしそっち行くね」

(………二人で居るつもりか)


「今年はキャンプファイアーで何人のカップルができるんだろうね」
「キャンプファイアーてもはやそういう行事だよね」


「旬はどうするんだ?」
「さすがに無理だろ」
「そうこう言ってるうちにあの二人くっつくぞ」
「でも今は無理だろ」


夏希先輩の触れてはいけない領域がある今はまだ無理だ。
もし万が一付き合えても、俺は夏希先輩を幸せにできない。



「俺は雪さん誘お〜」
「…まじか」
「今日ので来たね!雪さ〜ん!」

(すげえな)


「雪さん!キャンプファイアーの時一緒に居ましょう!」
「いいよ〜でも真紀子と夏希は…」
「じゃあ金井くんっ一緒に居よっ」
「はい!」

(え、もしかして俺キューピッド?自分くっついてないのに?)

「夏希は〜…野田くんとかな?」
「ちょっと佐藤くんがんばりなよ〜」
「え、なんでみんな知ってるんですか?」
「昨日の時点で気づくよ!」
「えっ佐藤ってそうだったのか?」
「えっ金井くん気付いて…」
「ませんでした〜」






もやもやしながらクラスの片付け

(俺だってほんとは…)



「来たよ〜」
「まだ片付けしてる?」
「入っちゃうね〜」

「真紀子先輩〜」
「雪さ〜ん!」
「…夏希先輩」


「先輩」
「勇くん」
「もうちょっとなんで待っててください」
「うん」
「…携帯に電話とかありましたか?」
「電話は3回ぐらいあったけど出てない」
「メールは?」
「来てたけど……まだ見てない」
「後で一緒に見ましょう」
「うん」

(ほら割り込めない。二人の隙なんてない)

「先輩終わったんで行きましょう」




「あの…」
「ん?」
「佐藤くんはキャンプファイアーのほう行かないの?」

そう声をかけて来たのは同じクラスの堀奈美

「あ〜後で行こうと思って」

嘘。ほんとは行きたくない。
あの二人を見たくない


「あの…よかったら一緒に行かない?」
真っ赤な顔



もしかしたら夏希先輩を忘れられるかもしれない。
叶わない恋なんてしつづけなくてよくなるのかもしれない。

「…いいよ。行こうか」



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