一つ目の答えはすんなりとでたものの、もう一つの答えに苦慮する半次郎。
だが、答えられない問いかけをノアがするとも思えず、これまでに彼女とかわした言葉の中にその鍵を模索していた。
そしてノアや段蔵のオーバードライブが自分とは違い、発動に何の制限もうけていない事に思慮がおよぶと、すぐに一つの仮定へとたどりつく。
「…もう一つはオーバードライブの発動による、身体の崩壊を考慮する必要がない場合」
そう答えた半次郎の言葉には、どこか憐憫の情がこめられてた。
「どうやら気づいたようだな。
そうだ、ワタシのオーバードライブは後者。
この体内を流れる血が壊れていく細胞を瞬時に修復してしまうため、力を抑える必要がないのだ」
半次郎を一瞥したノアは、この青年と出会った意味を今更ながらに覚っていた。
その才能を開眼させること、それが自分の役目だったのだと。
そして、自身は死の淵にありながら半次郎の身だけをあんじ、自分にたくした後藤半次郎の想いに共感し、その口元に笑みを浮かべた。
『そういえば、あの男もオーバードライブをつかっていたな。
その記憶を思い起こして、オーバードライブを発動に導いたか』
「時間を惜しまずに強靭な身体を作り上げろ、さすれば短時間のオーバードライブくらいは使い熟せるようになるだろう。
これがワタシからの、最後の教えだ」
そう言い残し、段蔵へと歩みを進めるノア。
「剣をぬけ、ここからはワタシが相手だ」
オリハルコン製の剣を段蔵にむけるノア。
その身体は、金色のオーヴに包まれていた。
臨戦体勢のノアを目前にしながら、段蔵は刀をぬこうとはせず、視線すら彼女にむけていなかった。
その段蔵の視線の先。
突如として沸き起こる強大なオーヴに、ノアが振り返る。