サボったうえ、家で居るからにはゴロゴロしてもいられない。
露語教室の宿題をする。
最近バイトを辞めて、高い月謝を払えなくなりそうだから、コンビニで求人情報誌をもらって来て、真剣に短期のアルバイトを探したりする。
将来は向こうで暮らすんだと、ばかげた夢のための貯金もしている。
新しい服や靴や化粧品だって人並みに欲しい。本も映画も好きだ。お金はいくらあっても足りない。
誕生日、何が欲しい。聞いてきたのは、あいつだっけ。
お金が欲しいと答えたら、そんな考えはよくないよなんて、さむいやつ。あいつも相当馬鹿だな。
ヤツの事を考えても仕方がない。
辞書のページをめくりながら、憧れのコーカサスの山脈を思い浮かべる。そして、ふもとの町でスローライフを満喫している自分。
ど田舎で、何もなくて、大嫌いなこのふるさとの暮らしに、少しだけかぶって見えた。
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