普段、研究施設には助手と室長の二人しかいない。出入りするは連絡や買い出しする助手だけでとても静かだが今は違う
室長「…うるさいネ」
ぼそりと呟くと助手が首を上げ、上を見る
助手「確かに騒がしいですね…何かあったのかな?」
助手が研究施設の入り口に向かい上の様子を見に行こうとするとムカイが中に入っていた
助手「ど、どちら様ですか?」
ムカイは助手の言葉に答える事なく真っ直ぐ室長の所へ向かう
助手「ちょ、ちょっと!」
ムカイの後を追い、止めようとするが、早足で止められなかった
ムカイ「お前がハーデス・ペルノー…」
名前を言われ、ピクリと体が動くとムカイの方へ振り向く
ハーデス「そうだが、君は誰かネ」
ハーデス・ペルノーと呼ばれた人物は白衣姿で髪がボサボサで、顔を覆い尽くすほどの丸い眼鏡を掛けている。プロフィールはほぼ不明なのだが、性格は生粋のマッドサイエンティストである。
ムカイ「お前を雇いたい、金ならいくらでも払う」
少し焦っている雰囲気を感じ取る
ハーデス「なるほど…上がうるさい原因は君カ…」
助手が勢いよく走りだし、電話を掛ける
助手「もしもし!侵入者は研究所に…」
「ガチャ!」
最後まで言う前にムカイに切られてしまったが、情報は十分上に伝わってしまった。
ムカイ「研究所を壊したり、あなた達に危害は与えない!頼むから話しだけでも聞いてくれ!」
助手を強く押さえる事なく両手を広げ、アピールする
助手「今の電話で上の人達が来ます!おとなしく捕まって下さい!」
様子を見ていたハーデスが体を左右に揺らしながら、奥の部屋に行こうとする
ムカイ「ま、待ってくれ!条件があれば言ってくれ!出来るだけ叶えるように頼んでみる!」
ハーデスの動きが止まる
ハーデス「バックは誰ダ?」
足を止め、ムカイの方へ振り向く。その場が一瞬引き締まる
ムカイ「カジノホテルオーナーのイザラだ」
不気味な笑みを浮かべる
ハーデス「マネークイーンがバックにいるのカ…」
助手「室長!」
助手の言葉など聞きもせず不気味に笑う
階段を降りる音が聞こえ、研究施設の前に人が集まる
「ドン!ドン!ドン!」
「ハーデス室長!大丈夫ですか!ここを開けて下さい!」
研究施設は地下にあり、逃げ場はない事はムカイもわかっていた
ムカイ(くそ!契約がまだなのに!)
助手がドアの所へ行き、開けようとすると、考え込んでいたハーデスが口を開く
ハーデス「ミント君…少し彼と話しがある。少しの間ここを頼むヨ」
ミント「室長!」
体を左右揺らしながら、ムカイと一緒に奥の部屋へ入って行った