「わ私佐藤くんのこと好きなの。よかったら付き合ってください」
あぁ…なんで今目の前に居るのが1番好きな人じゃないんだ……
「ご…」
"ごめん。好きな人が居るんだ。"
そう言いかけた時、
校舎の窓には大好きな人の影と大好きな人の大好きな人の影
(あぁ…いくら俺が夏希先輩を想っても叶わないんだ)
「いいよ」
「えっ」
「付き合おう」
「ほんと?」
「うん」
「じゃあ一緒に帰っていい?」
「もちろん。じゃあ行こうか」
「まだキャンプファイヤー途中だよ」
「いいじゃん行こう」
これ以上先輩の姿を見たくない
見たら忘れられなくなる
それ以来先輩のクラスの前を極力通らないようにした
しばらく先輩に会わない日々が続いた
そんな時
「なあなあ最近夏希先輩どうした?」
「…知るかよ」
(なんで俺に聞くんだ)
「雪さんが『最近夏希が学校来ないし連絡とれない』って言ってたから…なんか知らない?」
「俺より野田に聞けよ」
「……何もう夏希先輩はどうでもいいわけ?」
「は?」
「旬、文化祭後からおかしいよな。妙にイライラしてるし、先輩のクラス避けてるし」
「ちげえよ」
「夏希先輩がまだ好きなくせに堀奈美の告白OKして、何がしたいんだよ」
「……」
「素直になれ」
「………」
「とりあえず俺は野田に聞いてくるから待ってろ」
「…なんだよ」
「野田も連絡ついてないらしいから雪さんたちと夏希先輩の家行くけどどうする?」
「どうするって…」
「行くの?行かないの?」
「……」
(素直になれって……)
「…行く」
「よしっ」
「夏希大丈夫かな〜」
「ただの風邪だといいけど…」
「でも文化祭からずっとだよさすがに長すぎる…」
「あっ着いたよっ」
ピンポーン
『…はい』
「夏希っ!?雪だよ!お見舞いに来たよ」
『…今開けるから待ってて』
「…どうぞ」
「夏希っ大丈夫!?」
久しぶりに見る先輩の顔
(…ちょっとやつれた?)
「…ちょっとここで待ってて………勇くんちょっと来て」
(来なければよかった)
奥で二人で何か話してる
……さすがに会話までは聞けないか…
「夏希どうしたんだろうね」
「文化祭後ってことはもしかして…」
「何かあったんですか?」
「文化祭中に夏希に絡んでた先輩居たじゃん?」
「居ましたっけ?」
「夏希と佐藤くん2人きりにした時居たんだよ」
「居ましたね…」
「そうなんですか〜」
「その人ね夏希の元カレなの」
「えっでもその人が何で…」
「ん〜私達も詳しく知らないから言えないんだけど、いろいろあったみたい」
「…お待たせ」
「夏希〜」
「心配かけてごめんね」
「いいよ〜それよりどうしたの?風邪?」
「それはちょっと私からは言いたくないから勇くんに言って貰うね」