迎えた本番。陸斗や翔貴の応援もありながら、みんなとの合唱に間に合った。
「失敗すんじゃねーぞ(笑)」
陸斗がケラケラ笑いながら、頭に何かを乗せた。私は、その何かで、陸斗の頭を叩いた。
「うっさい!」
「いってー。それ忘れたら失敗連発。なんちゃって(笑)」
「全然おもしろない!」
私と陸斗のキャッチボールは周囲の雰囲気をなごませたらしい。何故だ?みんなは、大爆笑し始めた。私と陸斗は
「「何で笑ってる?」」
ハモってしまった。
「みんなはそのやり取りを見て笑ってんだよ」
翔貴も珍しく笑っていた。
他のクラスは緊張が溢れだしているにも関わらず、私達のクラスは笑いて溢れていた。
『次は霧島さん伴奏による、サクラです』
1 2 3 4…
♪〜〜♪〜♪♪〜♪〜♪♪〜
滑らかな音と綺麗にハモった、声が一つになり、響かせる。
緊張はほどけ、本番ということを忘れた。
『それでは、集合してください。優勝は3年4組!ですが同じ得点になり、1年1組!』
「同じ得点!?」
「1年が?まさか」
「3年を抜かした?」
口々に言われた。ただ、優勝が2つの場合、ピアノの判定になる。伴奏者が運命を分ける。
『1年!霧島空さんの伴奏です!』
その瞬間会場が凍りついた。「優勝……?優勝。優勝やぁ!」
陸斗が私を思わず抱き締める。私も背中をぐっと握った。
「陸斗!翔貴!やったよ!」