遼一はオカマチームと互いの情報を交換した。
シンジには断らず独断で行ったものだ。
これは、オカマ三人はレースでの優勝など考えておらず、ただ単に<いいオトコ>に会えれば良いというスタンスでの参加だと言われたからだ。
遼一はそれを信用した。
彼ら、いや彼女らからは人を騙そうとする<気>が感じられなかった。
「もちろん、最初は賞金目当てに優勝するつもりだったわ。けど、あの騒ぎでちょっと考え変えちゃった」
イッコーの言葉には真実味があった。乱闘の事を言っているのだ。
「あの騒ぎをよく無事に切り抜けましたね。やっぱりカバちゃんさんの活躍ですか?」
「イヤねぇ、さんづけなんてしないで。カバちゃんって呼んでね」
「それもあったんだけど、タレントの友達が助けてくれたのよ。ケインとかワッキーとかのチーム」
愛が説明してくれた。
遼一は辛うじてケインの名は知っていたが、二人の芸人は知らなかった。ケインにしても、むしろ彼の父親の方が遼一には馴染み深い。
「なるほど。怪我がなくて良かったですね。ところで、スマチームって知ってますか?第1ゴール1位通過の」
「知らないわ。スマってまさか…」三人が顔を見合わせた。