「あなたっ!あなたっ!」「パパァ!」ん!?俺は朝まで気絶してたらしい。妻の美代が言うには長い髪の毛がたくさん落ちていたらしい。俺はこれは悪い夢でも見てるんだと自分に言い聞かせた。しかし、そんなある日の夜に娘の由美が俺を起こす。「パパ、おしっこしたくなったんだけどトイレの前に誰かいるの。」嫌な予感がした。「パパがついていこう。」その日はもう立冬を迎え空気の乾燥した寒い夜だった。ドアを開ける…、どうやら女はいないようだ。「由美!誰もいないじゃないか〜」内心ほっとした。そして由美のトイレを待つ…。その時「きゃあぁぁあ!あなたぁ!」美代の叫び声だ!俺は急いで駆け足になる!由美も後からついてくる。美代はあの女の無限に伸びる髪に手足を縛られ、奥の闇に引っ張られている。部屋に入ろうとするが髪の毛が入り口を封鎖する。わずかに隙間があるが俺じゃ無理である。この時程自分の体格を恨んだことはない。悔しくて涙が出る。その時娘が隙間から入ってゆく。美代は「由美!来ちゃダメ!」由美は「ママ行っちゃやだ!」ちくしょう!俺だけがそこに行けないなんて……。それにしてもやけに暑い。気付いたら家の中が燃えさかっている……。