自死天使

柳沢 恵 2013-09-28投稿
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古き時代より人は考え続けてきた。
『何故我々は生きるのか』ある賢人はその問いを生涯のテーマとし、ある賢人は自死を選ぶ者もいた。
きっとその答えはひどく安易なようでいて、どんな演算よりも難解でもあるのだろうね。
哲学者,教師,医者,文豪,芸術家,あらゆる有名人も無名人も分け隔てなく『自死』への誘惑がとり憑くことがある。
死ぬべき時ではないのに、『死にたい。生きることこそこの世の地獄…』
それはこの現代日本においても、主だった動悸の変化はあろうが変わりはない。
最近目で確認できるものといえば…ネットの自殺タグ関連サイトを渡ってみればいい。たくさんの自死への願いで溢れかえっている。煽動するだけのコメントもあれば、救済や逃避願望を匂わせるもの、または…本気の決断のラストメッセージ。

数ある死への願望の中から『私』は匂いを嗅ぎ分ける。もちろんネットなどを介さずとも良い。誰かが思いさえすればピンと気づく。私は古来よりの狩人、獲物は自殺者の魂。
死神じゃないのかって?失敬な。まあ、そう呼ばれることは少なくは…ないけどね。
そろそろ私も名乗っておこうかね。ナイト・グレイヤード、ミドルネームはない。名乗ったのには理由がある。こう見えても私は多忙でね、そろそろ仕事の時間なのだ。君さえ興味があるならば、混迷の世界へと誘わせて頂きたい。

なにしろ今日のクライアントは久々の本物でね…今回は若い少女なのだが、彼女はもう自死を決断している。

君は興味はないのかい?まだ若い身空の少女の抱える死への願望…それは一体何なのか?何が彼女を追い詰めた?

知りたくばくるといい。しかし…後悔しても何の責任は負いかねるが、な。

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