Episode.6
僕は自分の部屋に戻った
何だかとても体が重かった
ベッドに倒れ込む
こんな体では三日間もこの世に
留まれないだろう
もし千奈が僕の存在に気づいて
僕を必要としてくれたなら
もう少し楽になるかもしれない
もう僕一人の意志では
この体を維持するのは難しい
そう思った
「…る……」
何かの声で目を覚ました
ベッドで寝ていたのか
消えかけていたのか
分からないが
ふと、意識がこの世に
引き戻された
起き上がって時計を見ると
深夜0時だった
何だか、昼間よりは
体が僅かに軽い気がする
声は、隣の部屋
つまり千奈のものだった
(…泣いてる)
軽くベッドを整え
急いで部屋を出た
…ドアは
すり抜けられるのだろうが
何だか癖でしっかり開けて
しっかり閉めてしまう
僕は千奈の部屋の前に立った
「すぐ…る…っ
優………会いたいよ…」
…やはり泣いている
僕が光の中で聞いたのは
この声だったのだ
入りたいが、入れない
すり抜けられるのだろうが
勝手に入るのは
どうしても気が引ける
かといってノックなどすれば
怖がらせてしまう
僕は黙ってドア越しに
耳を傾けるしかなかった