Episode.7
「優……優ぅ………」
しゃくりあげながら
声を震わせて泣く、千奈
まさか僕がいなくなってから
毎晩泣いているんだろうか
僕は心配で
千奈の部屋に入って
隣にいたくて仕方なかった
けれど…
今の僕にできる事は
何一つ無かった
千奈の部屋の前に
ぼんやりと立ちながら
生前、二人で過ごした
居間を眺める
僕の部屋と千奈の部屋は
隣に並んでいて
どちらの部屋も
広めのこの居間に通じている
2LDKの小さな家
しかし
引っ越してきた時は嬉しくて
二人で大いに喜んだものだ
今ではこの家に
千奈を一人、残してしまった
(…ごめん、千奈)
涙が次から次へと
溢れてきた
僕は昔から涙腺が脆くて
よく千奈に慰められていた
゙もー
優は涙腺脆いんだから!
こんな悲しい映画見たら
泣いちゃうに
決まってるでしょ〜?゙
゙ご、ごめん…゙
゙でも、いいよ
あたしとなら
あたしといる時だけは
たくさん泣いていいからね゙
今はあの頃の面影も無い
僕ら二人の姿に
僕も千奈も、ただ
涙を流す事しか出来なかった