Episode.9
ジリリリリリリリ…
けたたましい目覚まし時計の音
朝7時を知らせるアラームだ
「…ん〜…」
私は手探りでそれを止め
眠い目をこすった
…優がいた頃は
私よりずっと早起きの優が
毎日優しく起こしてくれた
だからこんなに朝起きるのは
辛くなかった
゙千奈
もう起きなきゃ駄目だよ゙
゙ん〜…゙
゙朝ご飯食べちゃうよ゙
゙……やだ〜゙
思い出すと涙が溢れそうになり
慌てて顔を洗いに
洗面所へ行こうと部屋を出た
そこで違和感に気づいた
おかしい
正しくは、懐かしい気配
隣の優の部屋の扉は
しっかり閉まっている
私はその扉を開けて
中に入った
いつも掃除をする為に
中に入っているから分かる
明らかに何かが昨日とは違う
(…まさか泥棒でも?)
私は不安になり部屋中を
見て回った
そして
重大な変化に気がついた
目の前の掛け布団は
間違いなく畳んであり
ベッドにはしわ一つ無い
優は几帳面だから私より
ベッドメイクが上手かった
それに、私は掛け布団を
広げた状態のままにしておくが
優は綺麗に
畳んでおくという違いがあった
「この…
ベッドメイクの仕方…」
私は数秒固まり
すぐに居間へ行った
既に私の頭の中には
彼の事しかなかった