あなたは今まで人を愛した事がありますか?
あなたの好きな異性のタイプはなんですか?
あなたは見た目で人を判断しますか?
渡されたものは簡単なアンケートだった。
やはり人生そうだんの類いなのか、これから受けようとする人の傾向をアンケートで確かめる内容だ。
そんな深く考えて書くほどの物じゃない。
あなたが恋人に求めるものはなんですか?
もしも恋人が明日死ぬとしたら、何をしますか?
あなたは神を信じますか?
『はぁ!?』
最後のアンケートに記入しようとした所で、受付の女が声を掛けてきた。
『お待たせしました。お部屋で先生がお待ちです。』
『あ、いや。すいませんまだアンケートが』
『もう大丈夫です』
というと女が手を差し出してきた。
なんだよ。先生はアンケートを見ないのかよ。何が大丈夫なんだよ。
多少納得いかなかったが、アンケートを女に渡した。
ソファから立ち上がり、店の奥へ案内された。先生の所へ行く間も靄が掛かっていて、匂いもする。
甘い香りだ
アーモンド?
『俺。こんな所で何をしてるんだろう』
『こちらです』
女が扉の前に立ち一礼すると、歩いた道へ去っていった。
女の後ろ姿を一目し、ドアノブに手を掛けた。
『俺はいったい』
僅かに芽生えた好奇心は、ドアを開けたと同時に消えていた。
『こんばんわ』
先生は、大柄な男だった。そして、やたら目力の強い人だった。