松浦啓介はアルバイトだった。あまりに低賃金。貧困に苦しんでいた。
そんな啓介のささやかな楽しみ。それはビデオボックスである。とかく不況のため、女子は正社員と結婚したがる。啓介らアルバイトのところにはなかなか女が回って来ない。気が狂いそうになる。だから、ビデオボックスに逃げる。ビデオボックスがなければ、きっと啓介は犯罪に走っているだろう。それほどアルバイトは過酷なのである。
とはいえ、給料日前になるとビデオボックスにさえ行くカネがなくなる。そんな時、啓介はどうするのか。
小説を読んで書くのである。小説はあまりカネがかからない。にも関わらず、大いなる感動と勇気を得ることができる。
貧困層にとって、闇の中の光であるといえよう。
小説、万歳!