「真帆の男たらし」私はささやかな反撃をしたが、真帆は気にも留めずに、
「あっ！あれうちの制服だよ。2人共良い男だねぇ」
と前を歩く2人の学生のことを言った。
「そうかなぁ？」
その時の私にはまだ恋が始まる予感さえ無かった。 「愛(ちか)は高望みしすぎだよ。まさかまだ、白馬に跨がった素敵な王子様が、私を迎えに来てくれるの。なんて思ってないよね？」真帆は、再び私に振り向いてそう言った。
「そ、そんな訳ないでしょ。幾ら私だって現実は直視しています！」
おもわず、私は大きな声をあげた。その声が聞こえたのか、前を歩いていた２人の男子学生がこちらを振り向いて笑いかけた。私はとっても恥ずかしくなり、俯いて彼等の視線から逃げ出したくなり、学校に向かって走りだしていた。
「ち、愛(ちか)待ってよ！」
真帆は突然走り出した私を、追い掛けようと叫んだ。2人の学生は今度は大きな声で笑っているのが、私の後ろの方で聞こえていた。真帆は彼等に軽く挨拶してから、私の後を追い掛けるために走り出した。
しばらく走っていた私は、やがて立ち止まると、後ろを振り向いた。真帆はすぐに追いついてきた。
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