ある日、松浦たけしは困っていた。女にふられたのである。プライドがズタズタに引き裂かれていた。
「もう死んでしまおうかな」
踏切の前に立つ。電車に飛び込もうとしたが、腹が鳴った。
「ラーメンを食ってから死のう」
まったくいいかげんなものである。しかしまあ死ぬよりはいいか。
ラーメン屋の前に列ができていた。人気店なのだ。
たけしは並ぶのがめんどくさくて、ラーメンはあきらめた。
「なに食べようかなあ」
たけしは牛丼を食べたあと、部屋に戻り、小説を書いた。ふられた悲しみを文学に昇華した。
「すらすら書ける。ふられたのは悲しいけど、文学になるなら大したもんだ」
たけしは20枚書いて寝た。
夢の中に、好きな女の子が出てきた。