陰鬱な朝に回転した隙間。それもまた淫乱のごとし。二倍三倍と積乱雲が回転して逃げた。
走ってもまともな行方はまた風、風、風。
「お前なー。いつまで二倍三倍になるのを待ってんだよ。しっつこいなー」
「うるさい。四倍五倍になるまで回転するんだオレは!」
「うざー」
まったくいいかげんな男である。浜辺で爆発したあと、高速道路の下で何かが光って走って逃げた。
苦しかった。低賃金だから。重労働だから。死亡届を提出して走って逃げた。
が、その瞬間。
がががっ。がががっ。
だだだだだだっ。
まるで稲妻のような陰鬱が、たとえば風と虚言少年のようにレジスタンスをジャパンで回転させた。
「だからお前はダメなんだよ。もっと元気になりな。現実を見な」
「うるせえ。苦しみよりましだ。オレはオレの道をゆく」
「バカヤロー!それでもインド人か!」
切ない。あまりに切なく風、風、風。また死亡届を提出して走って逃げた。何回も何回もそうした。まるで熊本のやまもっさんみたいだ。
メタルはどこだ、と田中の弟が尋ねた。しかしながら、メタルはどこにもない。陰鬱が再発したためである。どうにもこうにもいけなかった。
ーーーはっはっは。冗談だよ冗談。
ーーーお前うけるね。マジ最高。
ーーーバカヤロー。蹴飛ばすぞ。オレは回転したいんだ。邪魔をするんじゃねえ。
確かに光った。幻のごとく。その数、数千。伝説となったやまちゃんもいる。
ゆるぎない自信。降参した地震。ついには二倍三倍のパイナップルとなった。
ついに……!!
コメントはありません。
わかってるよ。
陰鬱は高速回転して走って逃げた。
逃げる逃げる逃げる。
だから。
こういう時期のパイナップルの二乗ともいうべき、刹那的な誤算。やはり、資料が必要だ。
日が昇った。
だだだっ。だっ。だっ。だだだだだだだ。
もう丸い。苦しいくらい丸い。夢のような出来事。寒い。狂いそうなくらい寒い。
「すけべ根性丸出しだな」