僕の彼女−1

紫の焔 2014-03-04投稿
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冷たい夜の池袋。JR池袋駅東口の出口で、初めて彼女に会った。
大勢が行き交う中、佇む姿は、細身のせいもあり存在が危い印象を与えた。
声をかけると驚いてまじまじとこちらを見上げる。
整った顔立ちに少し伏し目がちな表情。50だと言っていたが、若く見えた。
『写メより凄く男前・・』
そう呟くと、顔を伏せた。
男前か・・。その言葉に自嘲を浮かべそうになる。くだらない外面の事だ。たまたまこの顔に生まれたのだ。親の遺伝子のおかげで自分の力で得たものではない。
人の好みは千差万別。誰かが綺麗と言えば、返す言葉は醜悪。そんな不確かなもの。大多数の者が認めたら美しく、芸能人などのテレビで持て囃されるのだろう。
無縁だ、そんなものは・・。
彼女は、ルリコと名乗ると繁華街に足早に歩き出した。追いつき並ぶと肩ほどまでの背であった。
今夜の飲み場所を話す。

ルリコと知り合ったのは出会い系サイトの募集だった。彼女は『寂しい・・』と掲示板にだしていた。
年齢のせいかメール受信のマークは付いておらず、プロフの写メと何処か共通するような心の想いみたいなものを感じてメールしたのが始まりだった。
初めは警戒するような口振りも、何度もマメにメールをやり取りするうちに打ち解け、一緒に飲もうとなるのも必然であった。
サイトにありがちなダブル不倫。
二人の都合が良い今夜、初顔合わせであった・・・。

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