空手道 佐山塾11

ハバネロベッパー 2014-03-21投稿
閲覧数[650] 良い投票[0] 悪い投票[0]

どうしたんですか…皆さん?

あの野郎はよぉ、なめ腐りやがってんだよっ!
現場現場で勝手な事しやがってな、あんたんとこの社長の幼なじみだかなんだか知らねーけどよお
いい迷惑だったんだよっ!
にしてもだ、スカッとしたねぇ、あんたてえしたもんだょ!
どうやら今までも、適当かましてたらしい…師範殿は…

情けねえな…
俺は心底師範の人間性を情けなく思った。

先輩はこんな野郎に憧れて、そして侮辱されて…

俺は複雑な思いのまま社へと車を走らせた。
覚悟は出来ていた。 途中コンビニで便箋と封筒を買い辞表を書いた。
一瞬、九州の妻子が頭に浮かんだ。

路頭に迷わす訳にはいかないな…

社に着くと案の定社長室へ呼び出された。

俺は深呼吸するとノックした。

どうぞ、の秘書の声に何故か肩の力が抜けた。

都丸君、聞いたよ。
いきなり社長は険しい表情で言った。

俺は黙っていた。

困ったもんだねぇ… 全く…

俺は胸ポケットから辞表を出そうとした…が、

座りたまえ

との社長の言葉に促され、辞表は胸ポケットに納めたままソファに座った。

あれはね、幼なじみでね、ワルイ奴ではないんだが、少しルーズな奴なんだな。 さっきすごい剣幕で電話してきたよ。
君をクビにしろとね。
あれは空手の師範でね、世界チャンピオンになった事もあってね、なかなか有名らしい。
私の息子も道場生でね、たまに稽古を見るんだが、あれは結構偉そうな事をのたまうんだよ、社会貢献しろだの礼儀を尽くせだの…
自分の事は棚にあげてね…

社長…私は…

いや、都丸君はなんら落ち度は無いよ。 君の判断は正しい。 奴は切ったよ、私がね。

は!?

実はね、前々から考えていたんだが、どうしても幼なじみのね‥躊躇が判断を誤らせたんだね…いや、申し訳ない。
君には嫌な思いをさせてしまったね。
この通り、申し訳ない。

社長は深々と俺に頭を下げた。

俺は面食らった。

い…いえ…社…社長…やめてください…
都丸君、この先も宜しく頼むよ。
今回の件は私も反省させられた。

ありがとう。
取り返しのつかない過ちをするところだった。
君のおかげで気がついたよ。

思いがけない展開に唖然としたまま社長室を出た。

外を見ると夕焼け空が広がっていた。
缶コーヒーを飲みながら先輩を思い浮かべた。会いたいな…



投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「ハバネロベッパー」さんの小説

もっと見る

ノンジャンルの新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ