日本でトップレベルの大学病院で移植手術が行われた
拡張型心筋症で余命2ヶ月と宣告された10代後半の女性に心臓が移植された
やっと自力で起き上がれるようになったのは二週間後
容態が安定するまでに1ヶ月かかったが医者からは、すごく早いと言われた
彼女は目を覚ますと自分の爪をみた
今までは、うす紫色の爪が今はピンク色になって、きちんと血液が循環されているのを感じた
いつも通りに寝癖直しのスプレーをした時にそれは起こった
鏡に見知らぬ男がうつっていたのだ
『キャー!!』
彼女は悲鳴をあげて鏡を落とした
その声にあわてて看護師がとんできた
『鏑木さんどうしたの?』『知らない人がここにいるんです!』
『知らない人?』
『ここに!』
看護師はまわりを見回す
『いないけど』
『いますよね!黒い短髪の背が高いやせぎすの若い男性』
『…みえないけど』
『いや、いますよ。いまピースサインしてます』
『…大手術をしたから混乱してるのね。』
『えっ?えっ?』
確かに彼女の前に若い男がいる
『よくあることだから、朝の点滴持ってくるからね』
彼女の名前は鏑木愛莉当時19歳
この若い幽霊もどきと長く付き合っていくことになるとは…予感していた
『多分俺は君しかみえないかも』
『…』
愛莉は寝ようと布団をかぶる
『もしもし』
男は声をかける
『これは夢だわ…15年いてこんなこと初めてだもん。幽霊が出るなんて』
『…』
しばらく静かになったので顔を出すと…
目の前に男
『よっ!』
『キャー!』
ナースコールを壊れるほど押した
結局看護師には見えないらしい
『…これは夢だ。きっと夢』
愛莉はお茶を飲もうとすると…
『はい、お茶入れました。』
温かいお茶が出てきた
『うわぁ!』
『冷たいお茶は体冷やすから熱すぎず温すぎないお茶ね』
『幽霊でなんでものが持てるの?』
『よくみて。君がやってるから。』
愛莉はよく見ると自分がお茶を入れていた。らしい
『私にはあなたがやっているみたいに見えるんだけど』
『まぁ…君には俺が見えるから錯覚するんじゃない?実際には君がしてるから。でも一応幽霊のたぐいだから物や人にさわれたりします!』
というと愛莉に触れた
鏡をみると自分は動いていないように…みえる
少しいい香りがして、その手は温かく感じた