ドナー(仮題名)2‐1

りょうな 2014-04-12投稿
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『俺は歌が下手なんだっ!いや…むちゃくちゃへたくそ。自覚してるし』
『確かに…寝る子も起きて泣くような』
『言い過ぎだぁ!』
自分の手が頭をたたく
『痛い!』
『へっ!』
『元気になったら絶対愛内さんに会いに行きましょう!コンサートとか』
『お前知らないの?うちらのチケットって簡単にとれないよ。プラチナチケットとか言われてるから』
『へぇ…』
『本当にチケットとれないよ。五年ファンやっててとれないってファンレターで訴えてきてたのはザラだから』
『番組公開録画とかありますよね?』
『公開収録な(笑)』
『それです』
『それこそプラチナ以上の価値があるよ。』
『いまから出せばちょうどよくないですか?ところでどうだせばいいんですか?』
『…まずはアイドルが出る番組みることだな。脱NHK!』
『NHKいいですよ。世界や経済、芸能までわかりますから』
『他の番組みろや!』


三日後愛莉は無事に退院をした
母親の車に乗り込む
『よかった。本当に…お父さん喜ぶわ』
『早くよくなるからね』

愛莉は父親を10歳で亡くし、母子家庭で育った

窓を開ける
緑の香りがする
本当に何年ぶりかの外の風だ

川沿いを眺める

『…』
『どうしました?』
なにかを探しているように見る悠人
『あんた最近独り言が激しいからと看護師さんに言われたわよ。独りで病室で騒いでいたって。』
『うるさいよね。やっぱり』
『スミマセン!お母さん』悠人は頭をかきながら謝る
『何?愛莉。あんた変な癖ついたわね(笑)頭かいたり、貧乏ゆすりしたり』
『お母さん貧乏ゆすりじゃなくてリズムとってるんですよ』
『余計なことしないでくださいよっ!だから怪しまれるって言ったじゃないですか』
『愛莉、さみしい思いさせちゃたから変なクセついたのね』
『いや…そんなことないよお母さん』
『スミマセンねー』
愛莉はミラーにうつる悠人をにらみつける

愛莉の自宅は病院から車で30分くらいのところにあるマンション
歩いて数分で滑川という清流があった

『へぇ…わりといいところに庶民なのにすんでるんだな』
『なくなった父親が残してくれたんです。私が病になった時に、すぐに病院にいけるようにって。引っ越してくれたんです』
『滑川がみえる』
『はい。元気になったらウォーキングする予定です』



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