「梨花ちゃん……」
「なあに先生」
「い、いや。何でもない」
五万円あげるから援助交際しないかと言おうとしたが、やめる。オレはアルバイトとはいえ、講師である。そんなバカなことを言ってちゃ情けない。
とはいえ、アルバイトはホントに低賃金である。貧困にまみれ、つい反社会的なことを考えてしまう。
犯罪に走らないのは、プロ作家になるという夢があるからだ。
てか、よく考えたら、アルバイトが五万も支払ったら餓死するなあ。
「先生」
「なんだい梨花ちゃん」
「梨花、援助交際したいな」
「ええっ」
「家が貧しいから稼ぎたいの」
「うーむ」
なんてえのは妄想である。貧しかったら塾に来られるわけがない。
オレは、ヘリコプターに乗る。空を飛んでると気分爽快で、いろいろな苦痛が忘れられる。ビバ・ヘリコプターである。
ローンが大変だ。アルバイトは低賃金。早くプロ作家になりたい。地道にコツコツと書いていく。
オレは家の屋上にヘリコプターをとめた。
野良犬が不気味に吠えてる。