天使のすむ湖60

雪美  2006-09-21投稿
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「一樹の成長が見れるかな、なんて期待した私が馬鹿だったのよね。」
香里は呟くように言った。
黄昏が二人を包み、俺は何も言えずにそっと肩に手を回し抱き寄せた。
「それでも、そばにいてくれる?」
香里の瞳から一筋の涙がこぼれた。
「当たり前じゃないか、はじめからそのつもりだったんだ、そばにいるよ、香里が寂しくないようにいるから、それでも愛してるよ、今を大事に生きよう。」
やっとの思いで告げて、香里に口付けた。
哀しい涙のキスは、精一杯の俺の愛情だった。泣き崩れる香里を、ぎゅっと抱きしめると、か細くなった肩が痛々しかった。
二人には限られた時間しか残されていない、それはわかっていたけど、再確認したようで、何てことだろうと俺も悲しくて、再び振り出しに戻った気分だった。
それでも、この美しい人を一人には出来ない、今はそう思った。

そっとベットに寝かせると、俺の手を握ったまま泣き泣き眠りについた。
現実は残酷だと俺は思った。




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