1
おい!! やめろ!!俺が誰だかわかってるのか。や、やめてくれぇ!!
……。
あは、ぁ。くそ、こんなはずではなかった……。死に、たくなぁ、い。
……。
2
本日未明、某県某市某町のある一軒家で殺人事件が起こった。
被害者は背後から刃物でひと突きにされて失血死していた。
死亡推定時刻の現場付近で不審な人物を見かけたものはおらず、また怪しい物音などもなかったという。
一見、普通の殺人事件に思えるようだが不可解な点が一つあった。
それは被害者の身元を判別できるような要素が一切ないという点だ。
被害者が身分証明を携帯していなかった、どころの話ではなく、その何の変哲のないはずの死体は指紋から、歯形から、はてはDNAに至るまで全てが別々であったのだった。
人体の部位の継ぎ接ぎそのものは物理的に不可能ではないが、細胞単位、DNAレベルとなると、もはや人間業とは思えない代物だっ、……。
何だ。おまえは。
部屋を間違えてるんじゃないのか。勝手に入ってくるんじゃない。
ん?それは……。
あっ!! やめれっ!! ……。
3
こうして事件は続いていく。僕の罪を隠すために……。