あのこがほしい
このこはいらない
あのこがほしい
そうだんしよう♪
そうしよう…
一番いらないのは…
桐島御嘉の実家の裏から生暖かい風が吹いた。
遠くからも近くからも激しい蝉の声がなりやまない。目に映るのは荒々しい緑の木々。点在する民家はそれぞれ立派ではある。
昼の暑さは尋常ではない。だが空気の澄み具合が嫌な感じを残さない。
朝六時。
台所からの生活音。
トントントン…
ジャージャー…何かを焼いてる。野菜とお肉を焼いてるのか。
同時に優しい香りの御味噌汁の匂いがする。
食卓に運ばれる朝ご飯は彩り素晴らしく美味しそうである。