僕の隣の席の女子は、非常に排他的だった。
その目はいつも孤独を愛し、凛々しい振る舞いは他人を寄せ付けることはない。長い黒髪は艶やかで、まるで彼女を守る殻のようだった。
だから、僕は彼女のことを遠くから見つめているしかなかった。
高嶺の花のような彼女を。学校という狭い世界のなかでしか存在できないような奇跡を。
ギリギリのバランスで成り立っているその狂気を。
崖下から眺めているしかなかった。馬鹿みたいに、その他大勢の一部として。 ……それはきっと、皆おなじ気持ちだった。
……多分、彼女は綺麗で。きっと、彼女は美しい。
でも、その自分の感情に逆らいたい気持ちが僕にはある。
だって、孤独で孤高な彼女を愛するならば、僕は彼女と触れ合うわけにはいかない。
僕が干渉して、それが壊れてしまうのは、とてもじゃないが、耐えられない。
何て馬鹿みたいな話だ。
どうせ彼女だって、いつかは寂しさに負けて、誰かと関係を結ぶ日がくるのだろう。
もしかしたら今だって、僕の知らないとこで、誰かと笑いあっているかもしれないのだから。
……しかし、その相手が僕になることは永遠にない。