六月の雨の匂いがする。 雨の向こうに紫陽花の花を見つけた。空の色をそのまま染めたようなそんな紫陽花だった。
「あずさ。行くよ?」そういって私の手を引っ張る翔太。幸せだった。毎日が翔太と過ごすだけで幸せだった。 でももうすぐ壊れてしまう。紫陽花がたくさん咲くこの季節に・・・。
「翔太。紫陽花咲いたよ。」
「そうか。じゃぁ元気になったら見に行こうな。」
この言葉を何回聞いただろう。あと何回聞いたら見にいけるだろう。
ほんとは分かってた。元気にならないってことは。もう紫陽花を二人で見れないってことは。