目をつぶれば、どしゃ降りの雨。
その最中には、ずぶ濡れになった君の姿。
君の体は震えていた。
寒さに熱を奪われて、得体の知れない何かに怯えて。
僕の体は錆ついていた。
遠くから吹きつける風によって。足元にまとわる水溜まりによって。
予感は一方的で、僕のセンサには感知できないまま、止まってしまっていた二人のダイアログ
それは、
劇的な出会いと同じ位に運命的であっけない別れとに終わった僕たちの影。
いまではもう果てしなさに紛れてしまった刹那と永遠、その間をたゆたう僕たちの時間。
もう二度と更新されることはない二人。
お互いによっては最高にも最低にもなれなくなった関係の成れの果て。
言葉も忘れたまま、立ち去った君。
君に届かない声で理由を並べる僕。
立ち尽くす僕はこのまま……。
………。
目を開ければ、
白んだ夜明けと薄らぼけた空っぽの部屋。
色彩を失った世界に収納された僕はずっと目を開閉させているだけだった。
もうこの世界から出なくちゃいけなかった。
でも、もう少しだけ……。
もう少しだけ君との欠片に遊びながら。
二人で行くことが出来なかった世界を想像する。