開けパンドラ!

レインノート 2015-01-08投稿
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 その長方形の箱は全体が黒く、ところどころに赤い紋様や文字のようなものが装飾されていた。
 昨日この箱を開けなかったのは、村人が起き出す時間だったのと、箱が不気味な雰囲気を纏っていたためである。
 魔物がうようよいるご時世だ。箱の中に怪物がいるかもしれない。
 とは思うが、好奇心には勝てない。
 ゼシルは持っている鉈で箱をつついてみる。コンコンという金属音はするが、なにも起きない。
「宝物だったらいくらで売れるかな」
 恐怖心を打ち消すように大きめの声で独り言を言う。
「よし」
 高鳴る鼓動を抑えつつ、箱の縁に手をつける。
 が、びくともしない。鍵は着いていないのに、蓋が上にも横にも動かない。
「なんだこれ、ハズレかよ…」
 箱を諦め、苛立ちに任せて箱を蹴った。すると…。
『我ガ眠リヲ妨ゲル者ハ誰カ…』
 頭の中に直接、体がゾッとするような声が響いた…。

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