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#3 新しい居場所。
「っていうか、此処は本当に死者の世界なのか?」
辺りを見ながら言うとヒーラギはこちらに振り返った。
「まぁ此処は私の趣味で作った場所だからね。なるべく普通の生活をしてほしいしこの方が少しでも死から目を背けられるしね」
明るく言って現実逃避だけど、と言った。
「でもお前なりの考えなんだろ?俺はこの町気に入ったよ」
笑って言うとヒーラギは一瞬驚いた顔をして頬を紅潮させながら照れ笑いした。
「人間に褒められたのは初めてだよ。こういうのも悪くないのかもね」
照れ隠しなのか何なのか嬉しそうにしながら先を急いだ。
「それにしても、君の様な引き籠もりに会いたがってるなんて変り者だよね」
「おい、酷い事笑顔で言うな!」
その満面の笑みには悪意すら感じた。
「ふぅ、そろそろ着くよ。今のうちに心落ち着かせておきなよ?」
ニシシ、とSっ気満載の笑い方をして奥の方に歩いていく。
徐々に勘付いていたが先程より木や草が増えた気がする。
後ろを振り返れば何ともないのだが前は林の様になっている。
「おい、家少なくなってきてるし木ばっかだぞ?本当にこんな所に恋夏は居るのか?」
「居るよ。彼女は未だに此処に慣れてないから自らあまり人目につかない所が良いといったの。それで小さな集落の様な所に住まわせた。でも同じ所に居る人とは仲良いよ?人気者だね」
腰に手を当ててうんうん頷きながら言っている。
そうなのか、うまくやってるのか。
引っ込み思案のあいつが村で仲良くやっている事に安堵したが一緒に何か虚しさも残った。パズルのピースが一つ欠けた様な胸騒ぎがした。
その様子に気付いたヒーラギは顔を覗きこんできた。
「あれあれ理緒君悲しそうな顔してるね〜?」
「は、はぁ!?悲しくなんかないし!」
「でもこれから会えるからその時甘えときなよ〜♪」