開けパンドラ!ー6

レインノート 2015-01-27投稿
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 ゼシルは箱に触れた。無くなっていたはずの左腕で。
 ………。
 何も起こらない。どうやらただの箱のようだ。
 と、その時。
『起きろ、バカたれ!』
「!!!??」

――――。

 瞬間、ゼシルの意識は完全に覚醒した。
 女性の声とともに、頭に鈍い痛みが残った。目の前に立っている女性の仕業だろう。
「何を呆けておるのだ?」
 半身を起こした状態で、口をポカンと開けて凝視してしまうのも無理はないだろう。その女性はそれほどまでの魅力を持っているのだから。
 全体的に細身で背が高く、腕を組む姿は様になっている。ややつり目がちで、細めだが妖艶な唇を三日月形にして微笑んでいる。なによりも腰まで伸びる黒髪が印象的な女性だった。
 年の頃は20〜30くらいだろうか。一言でいうなら大人な女性だ。
 何も言わずにいると、女は顔をスッと近付けてきた。思わず1歩下がる。すると女は距離を1歩積め、口を開いた。
「お主は今日から我の奴隷だ」
 記憶に新しい話し方に、悪い予感しかしなかった。

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